スケールするDNA

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課題先進国である我が国においては、シェアリングエコノミーやPDS等のデータ活用サービスとも言える分野で、多くの事業開発と、それを通じた社会課題の解決と産業の活性化が期待されている。

しかしながら、多くの実証事業や、ベンチャー企業による取組みにも見られるように、例え、先端的な技術や先駆的なビジネスアイデアであったとしても、あるいは欧米で成功しているビジネスだったとしても、実際に我が国で社会的認知を得て、事業として独り立ちするまでに至らないケースが多いように思う。

いうまでもなく、事業は生み出すのも困難だが、育てるのはその何倍も難しい。では、事業を「育てる」、あるいは安定的収益を生み出すまでに「スケールさせる」には、一体、何が大切なのだろう。

今年に入って、60社を超える、いわゆる先進的データ活用企業のみなさんとディスカッションさせていただいて気づいたのは、「スケール」した事業には、提供しているサービスや商品に「スケールするDNA」が組み込まれているのではないか、ということ。元も子もないようだが、事業運営や展開戦略ではなく、むしろ商品やサービスの本性そのものが卓越していたと思われるのである。

では、「スケールするDNA」とは何か?

それは、それぞれの事業の提供価値や体験の素晴らしさや、バリューチェーンの効率性、ましてや先進性なんていう送り手側の要素ではないらしい。もっとターゲットにとって潜在的でドロドロした、例えばB2Cで言えば消費者の「自分だけは失敗したくない」といった感情や、B2Bの事業であれば「競合から遅れていると思われたくない」といった、本性に近いところの見えない猜疑心に、ちゃんと食い込めるかにあるらしい。

例えば、100万アカウントで成長が止まった、AIを用いて個人のニーズに合わせてカスタマイズニュースを配信するサービスは、「今話題になっているニュースはこれ!」というカスタマイズとは真逆の配信ポリシーに切り替えることで、話題に遅れるのを恐れるユーザーを獲得し、あっという間に500万以上のアカウントに到達した。また、あるスマホ上の家計簿サービスは、単なる家計簿の機能を超え、自治体の給付金や医療費控除の提案機能を提示することで、日々のもらい忘れを恐れる幅広いコアユーザーを獲得した。

いずれも、当初の事業コンセプトを変更してでも、提供サービスに「スケールするDNA」をしっかり組み込んだ事例と言えるだろう。

そんな視点で、提案されている多くのデータ活用サービスを見つめ直してみると、「スケールするDNA」が埋め込まれている事業はまだまだほんの一握りだと思う。
一例をあげれば自分の運転状況に応じて自動車損害保険の保険料が安くなるテレマティクス保険は、間違いなくDNAが埋め込まれているし、一方で、これからの発展が期待されるPHR(Personal Health Record)サービスをスケールさせるには、医療費控除や保険料の減免といった、損したくない気持ちに応える仕掛けが不可欠だろう。

データ活用サービスの本格的展開はまだまだこれから。「スケールするDNA」のあり方も、これからますます増えてくるだろう。しっかりと研究しながら、自分なりに提案できるよう考えてみたい。


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このページは、maroが 4.11.16 9:11に書いたブログ記事です。

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